ワキ汗の悩みを調べていると、よく目にする「ミラドライ」。「ミラドライとは、そもそもどんな治療なのか」を知りたい方に向けて、この記事では基本から解説します。

ミラドライは、マイクロ波(電磁波)を使い、メスを使わずにワキ汗にアプローチする治療です。2018年には、国内で「原発性腋窩多汗症」の治療機器として厚生労働省の製造販売承認を取得しています。

この記事では、ミラドライとはどんな治療か、ワキ汗に作用する仕組み、国内の承認情報、治療の流れ、メリットと注意点までを、皮膚科専門医がわかりやすく解説します。

1. ミラドライとは|切らないワキ汗治療

ミラドライ(miraDry)とは、マイクロ波(電磁波)をワキの皮膚に照射し、汗のもとになる汗腺の機能を低下させる治療です。

最大の特徴は、メスを使わず、切開をともなわないことです。皮膚の上から照射するため、切開による傷あとが残らず、手術に抵抗がある方にも選ばれています。

国内でのミラドライの承認の対象は、「原発性腋窩多汗症」、つまりワキの“汗”の治療です。ワキ汗(多汗症)に悩む方のための治療、と理解するとわかりやすいでしょう。

2. ミラドライがワキ汗に作用する仕組み

ワキの汗腺とマイクロ波

ワキには、おもに2種類の汗腺があります。汗を出すエクリン汗腺と、ニオイのもとになる成分を含む汗を出すアポクリン汗腺です。これらの汗腺は、皮膚の比較的浅い層(真皮と皮下脂肪の境目あたり)に集まっています。

ミラドライは、マイクロ波のエネルギーを照射し、汗腺が集まっている層を加熱することで、汗腺の機能を低下させます。汗腺は一度ダメージを受けると再生しにくいと考えられているため、効果の持続が期待できるとされています。

皮膚表面を守るしくみ

マイクロ波で熱を加える治療では、皮膚表面へのダメージが心配になります。ミラドライには、照射と同時に皮膚表面を冷却するしくみが備わっており、表面を守りながら、汗腺がある層に熱を届けるよう設計されています。

「ダブル照射」など、照射方法に関する用語を見かけることがあります。実際の照射方法や設定は、症状や肌の状態に応じて医師が判断するものです。詳しくはカウンセリングで確認しましょう。

3. ミラドライの承認について(国内とFDA)

ミラドライ(miraDry システム)は、2018年に厚生労働省の製造販売承認を取得しています。その承認された使用目的は「原発性腋窩多汗症」、つまりワキの“汗”の治療です。

一方、米国のFDA(食品医薬品局)では、ミラドライはワキ汗(多汗症)に加えて、腋臭症(ワキのニオイ)や減毛の用途でも認可(クリアランス)を取得しています。

ミラドライの承認の範囲
日本国内の承認:原発性腋窩多汗症(ワキ汗)
米国FDAの認可(クリアランス):多汗症 + 腋臭症(ニオイ)+ 減毛
日本国内では、ニオイ(腋臭症)や減毛への使用は承認適応外の使用にあたります。

ワキガ(ニオイ)の悩みが中心の方は、ミラドライの国内承認が「ワキ汗」を対象としている点をふまえ、医師の診察を受けて相談することをおすすめします。詳しくは別記事「ミラドライはワキガに効く?」もご覧ください。

4. ミラドライの治療の流れ

ミラドライの一般的な治療の流れは、次のとおりです。

ステップ内容
1. カウンセリング・診察医師がワキの汗・ニオイの状態を診察し、ミラドライが適しているか、見込める変化やリスクを説明する
2. 準備・マーキング照射する範囲を確認し、マーキングを行う
3. 局所麻酔ワキに局所麻酔を行う
4. マイクロ波の照射マイクロ波を照射し、汗腺がある層を加熱する
5. 施術後の説明・アフターケア術後の過ごし方や、起こりうる症状について説明を受ける

施術後は、腫れや内出血、しこりなどが一時的に生じることがあります。ダウンタイムや経過については、別記事「ミラドライのダウンタイムと経過」で詳しく解説しています。

5. ミラドライのメリットと知っておきたい注意点

ミラドライを正しく理解するために、メリットと注意点の両方を知っておきましょう。

メリット知っておきたい注意点
メスを使わず、切開による傷あとが残らない切らない治療だが、ダウンタイム(腫れ・しこりなど)はある
汗腺は再生しにくく、効果の持続が期待できる「永久」「完全」を保証する治療ではなく、個人差がある
国内で原発性腋窩多汗症の治療機器として承認されているニオイ(腋臭症)は国内では承認適応外
日常生活の多くは施術当日から可能とされる自由診療のため費用は全額自己負担

メリットだけでなく注意点も理解したうえで、医師の診察を受けて、自分に合う治療かどうかを相談することが大切です。

6. まとめ:ミラドライの基本を理解して検討する

ミラドライは、マイクロ波でワキの汗腺にアプローチする、メスを使わないワキ汗治療です。基本を理解しておくことが、納得のいく検討につながります。

この記事のポイント

  • ミラドライは、マイクロ波で汗腺の機能を低下させる切らないワキ汗治療
  • 2018年に国内で「原発性腋窩多汗症」の治療機器として承認されている
  • 米国FDAでは腋臭症・減毛も認可されているが、国内ではこれらは適応外の使用
  • 切らない治療だがダウンタイムはあり、「永久」を保証する治療ではない
  • 自分に合うかは、医師の診察を受けて相談することが大切

大阪・豊中・吹田エリアでミラドライを検討されている方は、千里中央花ふさ皮ふ科・美容皮膚科、または江坂駅前花ふさ皮ふ科・美容皮膚科へお気軽にご相談ください。皮膚科専門医が、ワキの汗・ニオイの状態を診たうえで、ミラドライについて丁寧にご説明します。当院のミラドライについてはミラドライの施術ページもご覧ください。

よくある質問(FAQ)

ミラドライとはどんな治療ですか?
マイクロ波(電磁波)をワキの皮膚に照射し、汗のもとになる汗腺の機能を低下させる治療です。メスを使わず切開をともなわないことが特徴で、国内では「原発性腋窩多汗症(ワキ汗)」の治療機器として承認されています。
ミラドライはなぜ汗に効くのですか?
ワキの汗腺が集まっている皮膚の層をマイクロ波で加熱し、汗腺の機能を低下させる仕組みです。汗腺は一度ダメージを受けると再生しにくいと考えられているため、効果の持続が期待できるとされています。
ミラドライは厚生労働省に承認されていますか?
ミラドライ(miraDry システム)は2018年に厚生労働省の製造販売承認を取得しています。承認された使用目的は「原発性腋窩多汗症」(ワキ汗)です。ニオイ(腋臭症)や減毛は、米国FDAでは認可されていますが、国内では承認適応外の使用にあたります。
ミラドライは痛くないですか?
局所麻酔をしたうえで照射するため、照射そのものの強い痛みは抑えられます。ただし麻酔の注射時の痛みや、施術後の痛み・張りを感じることがあり、感じ方には個人差があります。

参考文献(Evidence)

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA):医療機器 審議結果報告書「miraDry システム」(2018年)

▶ ミラドライシステムの国内における製造販売承認(使用目的=原発性腋窩多汗症)に関する公的資料。

Glaser DA, Coleman WP 3rd, Fan LK, et al. A randomized, blinded clinical evaluation of a novel microwave device for treating axillary hyperhidrosis: the dermatologic reduction in underarm perspiration study. Dermatol Surg. 2012;38(2):185-191.

▶ マイクロ波デバイスによる腋窩多汗症治療の有効性・安全性を評価した代表的な臨床試験。

日本皮膚科学会:原発性局所多汗症診療ガイドライン(2023年改訂版)。日本皮膚科学会雑誌。

▶ 多汗症の重症度評価や治療選択の考え方を示した国内の診療ガイドライン。