ニキビが同じ場所にできてしまい、赤みを帯びた状態が続いている人や、ニキビの炎症が治まったあとにもニキビ跡の赤みがなかなか引かない人もいますよね。ニキビ跡の赤みは、セルフケアでは改善されないケースも少なくありません。

 

当記事ではニキビ跡の治療方法に関して解説します。ニキビ跡が赤みを帯びる原因も説明するので、自身の症状に合った治療方法を選ぶ際の参考にしてください。

 

ニキビ跡が赤みを帯びる原因は毛細血管の増殖

ニキビ跡の赤みは、皮膚の修復過程における現象です。ニキビ跡の赤みは「炎症後紅斑」といわれ、ニキビができたことでダメージを受けた毛穴周辺の皮膚が修復する過程において修復箇所に毛細血管が集中的に増殖している状態です。

 

ニキビ跡の赤みなどは、日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡治療ガイドライン」にも記載があるように自然治癒する可能性があるものです。しかし、自然治癒の過程で新たなニキビができてしまい、炎症を繰り返すことで皮膚がダメージを受けている場合や、免疫機能やターンオーバーが低下している場合には、皮膚修復が正常に行われないことがあります。

 

皮膚の修復が正常に行われないと、ニキビによって発生した赤みが皮膚に残ってしまう可能性があります。肌に赤みが残ってしまった場合は自然治癒しないので、赤みを消すには治療を受けることを検討することがよいでしょう。

 

ニキビ跡の赤みを改善するためのセルフケア

ニキビ跡の赤みを改善するためには、ニキビができた肌が修復される初期の段階で正しいセルフケアを行う必要があります。

 

ニキビ跡の赤みを改善するためのセルフケア例

セルフケアの例

詳細

ターンオーバーを整える

・タンパク質、ビタミン、ミネラルのバランスが取れた食事を意識する

・適度な運動でストレス解消と血行促進をはかる

・質の良い睡眠で成長ホルモンを分泌させる

紫外線対策を行う

・日焼け止めを使用する

・日傘や帽子で直射日光に当たるのを避ける

 

ニキビ跡の赤みの原因である炎症を抑え、自然治癒を促すためには、肌のターンオーバーを整える必要があります。バランスの良い食事、適度な運動、質の良い睡眠を心がけることによって、肌のターンオーバーが正常に機能する可能性を高めることができるでしょう。

 

ニキビ跡に限らず、肌を健やかに保つためには紫外線対策は必要です。紫外線を浴びることで活性酸素が発生して肌の炎症を起こす要因となるため、赤みを帯びたニキビ跡がある場合には悪化を防止するためにも紫外線対策は欠かさず行うようにしましょう。

 

なお、これらのセルフケアを十分に行っていたにもかかわらずニキビ跡の赤みが改善されない状態が持続する可能性もあります。セルフケアを行ってもニキビ跡の赤みが改善しない人は、皮膚科専門医に相談して適切な治療を受けることを検討してください。

 

赤みのあるニキビ跡の治療方法

赤みのあるニキビ跡の治療方法は、個々の症状に合わせて複数あります。

 

【赤みのあるニキビ跡の治療方法】

  • 内服薬や外用薬による治療
  • レーザー医療機器やIPLによる治療
  • マイクロニードルによる治療

 

赤く盛り上がっているニキビ跡には圧迫療法や注射などが適する場合もあるなど、症状によって治療方法は異なります。症状が悪化すると治療期間が長引く可能性が高くなるため、ニキビ跡の赤みが気になっている場合には早めに適切な治療を受けることを検討してください。

 

内服薬や外用薬による治療

内服薬や外用薬によってニキビ跡の赤みを改善できる場合があります。

 

【ニキビ跡の赤みに使用される内服薬や外用薬の例】

薬の種類

内服薬

・トランサミン(トラネキサム酸)

・ハイチオール(L-システイン)

・シナール(ビタミンC:アスコルビン酸))

・ユベラ(ビタミンE)

外用薬

・ビタミンC誘導体(ターンオーバーの正常化、色素沈着の改善)

・ヘパリン類似物質(血行促進作用、抗炎症作用)

・ハイドロキノン(メラニン色素を抑制)

・過酸化ベンゾイル(抗菌作用)

 

ニキビ跡の赤みは炎症によるものであり、炎症を抑える効果が期待できるビタミンCやL-システインの服用によって改善がみられる可能性があります。また、皮膚のターンオーバーを促すビタミンEの服用も赤みを帯びたニキビ跡を改善させるうえで効果が期待できるでしょう。

 

ニキビ跡の赤みに処方される外用薬は、赤みの原因となっている炎症の状態や病院によって異なる場合があります。いずれの外用薬も炎症を抑え、肌のターンオーバーを正常化させることで、ニキビを繰り返したり炎症が悪化して色素沈着が起こったりすることを防ぐものです。

 

なお、赤く盛り上がっているタイプのニキビ跡にはステロイド剤の外用が適する場合もあります。ニキビ跡の状態によって適する治療方法は異なるため、薬の使用に際しては、自己診断を行わず専門医に相談して使用するようにしましょう。

 

レーザー医療機器やIPLによる治療

レーザー医療機器やIPLによる治療は、ニキビ跡の赤みである増殖した毛細血管を除去する方法です。

 

【ニキビ跡の治療に使用する医療機器の例】

 

医療機器

詳細

Vビーム

・ヘモグロビン色素に反応するレーザー医療機器

・照射により赤みの原因である毛細血管を破壊させる

IPL(Intense Pulsed Light)

・さまざまな肌の悩みに対応した機種が複数存在する光治療機器

・ヘモグロビン色素に反応する機種は、赤みの原因である毛細血管を収縮させる

 

Vビームはヘモグロビン色素に反応するレーザー医療機器です。異常のある毛細血管のみを破壊できるため、ニキビ跡の赤みの原因である増殖した毛細血管を除去するうえで効果が期待できる治療方法であるといえるでしょう。また毛細血管中のヘモグロビンに反応する広波長域の光を照射させて毛細血管を収縮させるIPLによる治療方法などもあります。

 

なお、レーザーや光治療を希望する場合にも、自身の症状に適した機器は異なり、扱っている機器は病院によってさまざまです。ニキビ跡の治療を行っている医療機関に相談するようにしましょう。

 

マイクロニードルによる治療

マイクロニードルは、無数に並んだシート状の針によって肌に刺激を与えて肌の再生を促す治療方法です。マイクロニードルは肌に針で穴をあけ、修復過程で肌を再生する仕組みなので、ターンオーバーの働きが正常に行われずにニキビの跡の赤みが残っている人に向く施術といえるでしょう。

 

マイクロニードル施術の例

施術

RF(高周波)エネルギー

ドラッグデリバリーシステム

対応する肌の悩み

ダーマペン

使用しない

ニキビ跡の凹み

毛穴の開き・たるみ

シミ

シワ・小ジワ

ポテンツァ

使用する

ニキビ・ニキビ跡の赤み

赤ら顔

毛穴の開き

肝斑

 

ダーマペンは高周波エネルギーを使用しませんが、ポテンツァには、マイクロニードルから高周波(RF)を照射し、針穴から直接薬剤や美容有効成分を導入できるドラッグデリバリーシステムが備わっています。

 

マイクロニードルはニキビそのものや毛穴の開きを引き締めるなどの効果もありますが、肌の再生能力を高める施術です。ポテンツァによるマイクロニードルの治療はニキビ跡の赤みの原因である毛細血管を治療することも可能ですが、赤みの強さによってはレーザー治療の方が効果的な場合もあります。いずれの方法が適切であるかは、皮膚科専門医に相談してください。

 

まとめ

ニキビ跡の赤みは、ニキビの炎症によりダメージを受けた毛穴周辺の皮膚が修復する過程で、修復箇所に毛細血管が集中的に増殖するため起こるものです。

 

ニキビ跡の赤みを改善するためには、ニキビができた肌が修復される初期の段階で正しいセルフケアを行う必要があります。ニキビ跡の赤みを改善するためのセルフケアとして、食事、運動、睡眠などによって肌のターンオーバーを整えることや、紫外線対策を行うことが挙げられます。

 

ただし、増殖した毛細血管によるニキビ跡の赤みは、セルフケアでは改善が難しい場合もあります。ニキビ跡の赤みが改善されない場合には、皮膚科専門医に相談の上、自身の症状に合った治療方法を選ぶようにしましょう。