自身や子供に赤あざがあり、治す方法がないものか悩んでいる人もいることでしょう。赤あざの原因は血管の異常の異常であり、多くの場合は良性腫瘍です。

 

ただし、一部は合併症を引き起こす可能性もあります。また、治療方法も状況によって異なるので、赤ら顔の治療をするには専門医の診断を受けることが推奨されます。

 

当記事では、赤あざの原因と治し方に関して解説します。赤あざの種類によって適した治療法を説明するので参考にしてください。

 

赤あざができる原因は血管の異常

赤あざとは医学用語で「血管腫」と呼ばれる良性腫瘍です。赤あざができる原因はさまざまであり、不明な点も多いですが、血管が異常を引き起こし拡張や増殖をしている状態であるという点は共通しています。

 

あざが赤みがかって見えるのは、血管中を流れるヘモグロビンが原因です。血管腫によって拡大した血管が赤い色素をもつヘモグロビンにより、通常よりも肌に赤みがかかって見えるのです。

 

赤あざには生まれつき存在する物や生後出現する者など複数の種類があります。自然消退するものありますが、痕が残り続けるケースも多く、治療するには皮膚科など専門機関で診断を受け、適切な処置を受ける必要があります。

 

赤あざの種類

赤あざと言われる血管腫にはさまざまな種類があります。

 

【血管腫の種類】

種類

症状

単純性血管腫

  • 生まれつき皮膚の表面に存在するあざ
  • 自然消退しない

乳児血管腫(いちご状血管腫)

  • 生後皮膚の表面に出現し、イチゴのように赤く盛り上がるあざ
  • 自然消退するが瘢痕(跡形・あとかた)が残ることもある

静脈奇形(海綿状血管腫)

  • 皮膚の深部にできる血管の固まり
  • 頭頸部にできやすく、痛みや重さを伴うことがある

血管拡張性肉芽腫

  • 皮膚の表面にできる赤く柔らかい良性腫瘍
  • 痛みはないが、腫瘍が傷つくと止血しにくい

老人性血管腫

  • 皮膚の表面にでき、平坦もしくはドーム状の赤いほくろのようなもの
  • 赤く光沢があり、自然消退しない

くも状(星芒状)血管腫

  • 皮膚の表面にできるクモの足のような放射状のあざ
  • 後天性で、自然消退することが多い

 

赤あざと言われるタイプの血管腫は、基本的には良性腫瘍です。生まれつき存在している赤あざや、幼少時にできたものは、色が濃くなったり面積が大きくなっている場合でも臓器に移転したり悪影響を及ぼすタイプの悪性腫瘍である可能性は低いといえるでしょう。

 

ただし、生まれつきあるタイプの赤あざであっても顔にできているものは、顔に眼や脳に同様の血管腫が合併症として存在している、スタージ・ウェーバー症候群の可能性があり、病院を受診した場合、CTやMRIによる検査が行われる場合があります。

 

また、進行性がある静脈奇形や、急速に大きくなっている乳児血管腫は治療したほうがいい場合もあります。赤あざがある場所や痛みの有無など、あざの状態に応じて専門医の診断を受けることを検討してください。

 

赤あざの治し方は種類によって異なる

赤あざの治し方は症状の種類によって異なります。

 

【赤あざの治し方】

  • 平坦な赤あざの場合はレーザー治療
  • 深部の血管腫や大きな乳児血管腫の場合は薬物治療を検討することもある
  • 乳児血管腫の赤みが引いたあとに盛り上がりがある場合には手術
  • 乳児血管腫の場合は自然治癒するケースもある


盛り上がりがないタイプの平坦な赤あざは、レーザー治療で改善が期待できます。血管腫が深部にできており、レーザーが届かないくらい深部にできた血管腫は薬物治療が適する場合もあります。

 

乳幼児血管腫は自然治癒するケースが多く見られる赤あざですが、大きさや病状によって、薬物治療や手術が適する場合があります。

 

赤あざの種類に応じて適切な処置を受けるためにも専門医の診断を受けることを検討してください。

 

平坦な赤あざの場合はレーザー治療

表面に盛り上がりのない平坦な赤あざの場合、レーザー治療によって改善されることがあります。

 

赤あざの治療に用いられるレーザー機器としてVビームが挙げられます。Vビームは、血液中のヘモグロビンに反応しやすい色素レーザーで、異常な毛細血管のみを破壊できる医療機器です。

 

Vビームを複数回にわたり照射することで、単純性血管腫を改善した症例が複数あります。また、乳幼児血管腫に対する薬事治療を行っても色が残る場合には、レーザー治療との併用が検討される場合もあります。

 

なお、赤あざが治るまでに必要なレーザー医療機器の照射回数などは赤あざの大きさや状態によって異なります。Vビームに関して知りたい方は、Vbeam Prima – Vビーム –を確認してください。

 

深部の血管腫や大きな乳児血管腫の場合は薬物治療

深部の血管腫や大きな乳児血管腫の場合は薬物治療によって改善されることがあります。赤あざの原因となっている血管の異常がレーザーが届かないほど深部にできているケースや、乳児血管腫の増殖速度がレーザー照射によって抑えられないケースがあるからです。

 

あざの治療に用いられるのは、ヘマンジオルシロップという内服薬です。ヘマンジオルシロップは、もともと高血圧症や不整脈などの心疾患治療に用いられていたβブロッカー(プロプラノロール)を有効成分とする薬です。

 

ヘルマンジオンシロップは、2016年7月に厚生労働省に承認され、乳幼児血管腫の治療に使用されるようになりました。ヘルマンジオンシロップを服用することで、血管腫が小さくなるのを速めたり、血管腫の増殖を抑えたりする効果が期待できます。

 

なお、ヘマンジオルシロップは保険適用薬です。乳幼児が服用する場合は、医師の指示に従って正しく使用する必要があるので、子供の赤あざの治療法として薬物療法を検討している人は専門医に相談してみましょう。千里中央花ふさ皮ふ科・江坂駅前花ふさ皮ふ科・みのお花ふさ皮ふ科ではヘマンジオルシロップによる治療は行っていないので、ヘマンジオルシロップによる治療が適切と判断した場合には総合病院へ紹介します。

 

 乳児血管腫の赤みが引いたあとに盛り上がりがある場合には手術

乳児血管腫の赤みが引いたあとに盛り上がりがある場合には、手術によって改善されることがあります。乳児血管腫は、赤みが引いたあとも皮膚の盛り上がりが残るケースがあるからです。

 

乳児血管腫の赤みが引いた後の皮膚の盛り上がりは自然治癒しないため、症状によっては手術で切除することで改善します。また、静脈奇形など深部の血管腫にはレーザーが届かないため、切除手術や血管内への投薬によって血管を潰す硬化療法が用いられることがあります。

 

なお、手術によって改善するタイプの赤あざに限らず、治療法を決めるためには、皮膚科医や形成外科医の診断が必要です。赤あざの種類によっては、早期治療によって、より痛みの少ない方法や短期間で改善する場合もあるため、早めに医師に相談するようにしましょう。

 

乳児血管腫の場合は自然治癒するケースもある

乳児血管腫は自然治癒するケースもあります。生後に出現したものでかつ表面が盛り上がっているタイプの血管腫は乳児血管腫であり、時間の経過と共に自然治癒が見られる場合もあります。

 

子供の赤あざが、生後出現したもので、なおかつ表面が盛り上がっているタイプであれば、乳児血管腫(いちご状血管腫)の可能性があります。

 

乳児血管腫であるかどうかは、診察で問診、視診、触診を行い、必要に応じて画像検査、病理検査、血液検査を行った結果によって診断されます。自然治癒する可能性や適切な治療法は赤あざの状態によって異なるため、医師の指示を仰ぐ必要があります。

 

ただし、赤あざが急激に大きくなっている場合、皮膚の表面に赤みや醜形が残ることもあり、早めの治療が適する場合もあります。小さな子供に痛い治療をさせる可能性を含めて悩んでいる人は、まずは一度皮膚科専門医に相談してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

赤あざの原因は血管の拡張や増殖など「血管の異常」です。赤あざは、医学用語では「血管腫」といわれ、血液中に存在する赤血球が皮膚の表面に赤く見えている状態を指します。

 

赤あざと言われる血管腫には先天性で自然消退しないものから、後天的に生じ、10歳くらいまでの間に自然治癒するものまでさまざまな種類があります。

 

赤あざの治し方は「レーザー治療」「薬物治療」「手術」など症状の種類によって異なります。平坦な赤あざの場合には色素レーザー医療機器を用いるケースが多く、レーザーが届かないくらい深部にできた血管腫や急激に増殖している乳児血管腫にはヘマンジオルシロップの内服治療を行います。

 

なお、乳児血管腫は自然治癒するケースもありますが、赤みが引いたあとに盛り上がりがある場合には手術によって改善することがあります。急激に大きくなっている乳児血管腫は、皮膚の表面に赤みや醜形が残ることもあるため、子供の赤あざに悩んでいる人は、早めに皮膚科専門医に相談してみましょう。