「ニキビ治療を続けているのに、
顔の小さなプツプツが一向に治らない」

そんなお悩みで受診される若い女性の患者さんは少なくありません。

実はその症状はニキビではなく、「ウイルス性の扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)」である可能性があります。

扁平疣贅とは?ニキビと間違われやすいウイルス感染症

扁平疣贅は、ヒトパピローマウイルス(HPV)によるウイルス性疾患です。

扁平疣贅の臨床像

特徴

  • 1〜3mm程度の平坦な小丘疹
  • 肌色〜薄茶色
  • 額・こめかみ・頬・フェイスラインに多い
  • 痛み・かゆみはほぼない
  • 洗顔・化粧・カミソリなどの刺激で拡大することがある6
  • 若い女性に多い
見た目がニキビや肌荒れに似ているため、長期間ニキビ治療を続けて改善せず、悪化してしまうケースもあります。

イソトレチノインとは?重症ニキビ治療の「最終兵器」

イソトレチノインは、ビタミンA誘導体を主成分とする強力な内服薬です。

本来のイソトレチノインの適応

  • 重症・難治性ニキビ
  • 保険診療(ベピオゲル、アダパレンゲル〈ディフェリンゲル〉など)で効果がなかった症例

    イソトレチノイン
海外では重症ニキビの第一選択薬として広く使用されていますが、日本では厚生労働省の承認は下りていない薬剤です7。

なぜイソトレチノインが扁平疣贅に効く可能性があるのか?

ニキビへの作用

  • 皮脂腺を縮小
  • 皮脂分泌を抑制
  • 角化異常を正常化
  • 抗炎症作用

重要扁平疣贅への作用

イボに対しては、ニキビとは異なるメカニズムで作用します。

  • 皮膚の角化(皮膚が厚く硬くなる反応)を抑制
  • ウイルス(HPV)に感染した細胞の異常増殖を抑える

その結果として、イボが徐々に消退・消失すると考えられています。

海外では、(青年性)扁平疣贅にイソトレチノインが有効だったという報告が複数存在します1,2,3。8件の研究をまとめた解析では、完全消失率は67.7%、扁平疣贅に限れば76.6%と報告されています1。

扁平疣贅に対する内服量・期間は、症状や体重に応じて医師が個別に判断します。海外の臨床試験では、1日あたり体重1kgにつき0.3〜0.6mgを、およそ3か月間内服した報告が多くみられます1,2,3。
エビデンスの限界について。これらの報告は症例数が少なく、研究ごとのばらつきも大きいのが実情です。15件の研究をまとめた2025年の系統的レビューでも「有望ではあるが、多くは中〜低質のエビデンス」と評価されています4。確立した標準治療ではなく、他の治療で改善しない場合の選択肢のひとつとお考えください。

イソトレチノインに関する明示(未承認医薬品)

  • 未承認医薬品であること:イソトレチノイン内服薬は、日本国内において薬機法上の承認を受けていない医薬品です。使用は自由診療となり、健康保険は適用されません。
  • 国内の承認医薬品等の有無:同一成分で国内承認されている内服薬はありません。扁平疣贅に対して日本で保険適用のある治療には、ヨクイニン内服・液体窒素凍結療法があります。
  • 諸外国における安全性等に係る情報:米国・欧州をはじめ多くの国で重症ざ瘡の治療薬として承認されています。ただし承認された効能は重症ざ瘡であり、扁平疣贅への使用は海外においても承認外の使用です。強い催奇形性があり、各国で厳格な妊娠回避プログラムの下に管理されています。主な副作用は口唇炎、皮膚・粘膜の乾燥、ドライアイ、脂質異常、肝機能値の上昇などです。
  • 重大な副作用等が発生した場合:国内未承認医薬品による健康被害については、医薬品副作用被害救済制度の対象となりません。

イソトレチノインの重大な副作用と注意点

イソトレチノインは、非常に効果が高い一方で、副作用も大きい薬剤です。

絶対に守るべき注意点

  • 妊娠中・妊活中の女性は内服不可(強い催奇形性があります)
  • 女性は内服前1か月・内服中・内服終了後1か月の確実な避妊が国際的に求められています8
  • 男性も妊活中は内服不可(※海外の添付文書では男性への避妊要求はありませんが、当院ではより慎重な方針をとっています)
  • 内服中、内服終了後1か月の間、献血は禁止
  • 薬を他人に譲り渡さないこと(特に妊娠の可能性がある方へ)
  • レーシックなどの視力矯正手術は適しません(マイボーム腺の萎縮による重度のドライアイのため)
  • 強い皮膚・口唇・眼の乾燥(ドライアイ)
  • 脂質異常、肝機能値の上昇(定期的な採血が必要です)
  • 精神症状の報告(大規模な疫学研究では集団としてのリスク上昇は示されていませんが5、各国の規制当局は注意喚起を継続しています)

必ず皮膚科専門医の厳格な管理下でのみ使用されるべき薬剤です。

扁平疣贅の一般的な治療とその限界

保険診療

  • ヨクイニン(漢方)の内服
    1日9〜18錠を約3ヶ月
    ※日本皮膚科学会のガイドラインでは推奨度Bですが、疣贅に対するプラセボ対照試験は乏しく、有効性のエビデンスは限定的です6。
  • 液体窒素凍結療法
    → 顔は炎症後色素沈着(シミ)が残りやすい

※千里中央花ふさ皮ふ科・江坂駅前花ふさ皮ふ科・みのお花ふさ皮ふ科では、顔への液体窒素治療は基本的におすすめしていません。

自費治療

  • CO2(炭酸ガス)レーザー
    → 再発しやすい
    → 蒸散時にウイルスを拡散させるリスク9

そのため、内服治療(保険診療ではヨクイニン・自費診療ではイソトレチノイン)を優先的に検討することがあります。

大阪の花ふさ皮ふ科グループの考え方|イソトレチノインは扁平疣贅に対する「治療選択肢の一つ」

千里中央花ふさ皮ふ科・江坂駅前花ふさ皮ふ科・みのお花ふさ皮ふ科でも、難治性の扁平疣贅にイソトレチノイン処方を行っています。

  • 他の治療で改善しない
  • 跡を残したくない
  • 医学的に適応がある

場合には、皮膚科専門医として選択肢の一つとしてご提案させていただきます。

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まとめ

顔のプツプツ、ニキビと決めつけないでください。

  • 顔の小さなプツプツ=ニキビとは限らない
  • 若い女性に多いウイルス性扁平疣贅という可能性
  • イソトレチノインは効果が期待できる場合があるが、国内未承認薬であり、強い副作用を伴う可能性あり

「ずっとニキビだと思っていた」「治らない理由がやっと分かった」
そう感じる方も少なくありません。

顔のプツプツでお困りの方は、扁平疣贅の可能性があります。
一度、大阪の花ふさ皮ふ科グループにご相談ください。

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顔のプツプツはニキビじゃない?扁平疣贅Q&A

Q1. 顔の小さなプツプツは本当にニキビではないのですか?
はい。額や頬にできる小さく平らなプツプツは、ニキビではなくウイルス性の扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)であることがあります。ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染症で、見た目がニキビに似ているため見分けが難しい場合があります。
Q2. イソトレチノインは扁平疣贅に本当に効果がありますか?
イソトレチノインは本来、重症ニキビの治療薬ですが、海外では顔の扁平疣贅に有効であるという報告があります。8件の研究をまとめた解析では完全消失率67.7%と報告されています。ただし対象となった研究は症例数が少なく質にばらつきがあるため、確立した治療とまでは言えません。
Q3. イソトレチノインは日本で認可されていますか?
日本では現在、厚生労働省の正式な承認はありません。そのため、自費診療で医師の厳重な管理のもと処方されます。健康保険は適用されません。
Q4. 副作用はありますか?
はい。特に重要なのは強い催奇形性です。妊娠中・妊活中の女性は内服できません。そのほか、皮膚や唇の乾燥、ドライアイ、精神症状などの副作用が報告されています。内服中および内服後一定期間は献血もできません。
Q5. 扁平疣贅の他の治療法はありますか?
保険診療ではヨクイニン(漢方)内服や液体窒素療法がありますが、顔の場合は色素沈着が残ることがあります。CO2レーザー治療も選択肢ですが、再発やウイルス拡散のリスクがあるため、慎重な判断が必要です。
Q6. どんな人が相談すべきですか?
ニキビ治療を続けても治らない顔のプツプツがある方、跡を残したくない方、原因をきちんと知りたい方は、一度皮膚科専門医にご相談ください。

参考文献

  1. Yang TH, Lee TH, Huang YC. Oral isotretinoin for treating mucocutaneous human papillomavirus infections: A systematic review and meta-analysis. Indian Journal of Dermatology, Venereology and Leprology. 2019;85(6):569-577.
    doi:10.4103/ijdvl.IJDVL_269_18
    ▶ 8件の研究・計217例の解析。完全消失率67.7%、扁平疣贅では76.6%。再発率12.3%。
  2. Olguin-García MG, Jurado-Santa Cruz F, Peralta-Pedrero ML, Morales-Sánchez MA. A double-blind, randomized, placebo-controlled trial of oral isotretinoin in the treatment of recalcitrant facial flat warts. Journal of Dermatological Treatment. 2015;26(1):78-82.
    doi:10.3109/09546634.2013.869302
    ▶ 難治性の顔面扁平疣贅に対する二重盲検プラセボ対照試験。30mg/日を12週間投与し、消失率87.5%。
  3. Kaur GJ, Brar BK, Kumar S, Brar SK, Singh B. Evaluation of the efficacy and safety of oral isotretinoin versus topical isotretinoin in the treatment of plane warts: a randomized open trial. International Journal of Dermatology. 2017;56(12):1352-1358.
    doi:10.1111/ijd.13727
    ▶ 内服(0.5mg/kg/日)と外用の比較試験。完全寛解は内服69%、外用38%。
  4. Abtahi-Naeini B, Sattari H, Rastegarnasab F, Seyedyousefi S. Efficacy and Safety of Oral Isotretinoin in Plane Warts: A Systematic Review on Clinical Studies. Scientifica. 2025;2025:4242268.
    doi:10.1155/sci5/4242268
    ▶ 15件の研究の系統的レビュー。消失率38〜87.5%。ただし無作為化比較試験は4件のみで、多くは中〜低質のエビデンスと評価。
  5. Tan NKW, Tang A, MacAlevey NCYL, Tan BKJ, Oon HH. Risk of Suicide and Psychiatric Disorders Among Isotretinoin Users: A Meta-Analysis. JAMA Dermatology. 2024;160(1):54-62.
    doi:10.1001/jamadermatol.2023.4579
    ▶ 約162万例のメタアナリシス。集団レベルでは自殺・精神疾患の相対リスク増加を示すエビデンスはないと結論。ただし治療中のモニタリングは継続すべきとしている。
  6. 日本皮膚科学会 尋常性疣贅診療ガイドライン策定委員会. 尋常性疣贅診療ガイドライン2019(第1版). 日本皮膚科学会雑誌. 2019;129(6):1265-1292.
    日本皮膚科学会 ガイドライン(PDF)
    ▶ 液体窒素凍結療法は推奨度A、サリチル酸は推奨度A、ヨクイニンは推奨度B。扁平疣贅は特殊型として分類されている。
  7. 厚生労働省. 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 要望書(要望番号II-29 イソトレチノイン)/個人輸入において注意すべき医薬品等について
    厚生労働省 個人輸入において注意すべき医薬品等について
    ▶ イソトレチノインが日本国内で未承認であることを示す一次情報。
  8. Roche. Roaccutane (isotretinoin) Core Data Sheet/electronic Medicines Compendium. Roaccutane 10mg soft capsules — Summary of Product Characteristics.
    英国 SmPC(電子添文)
    ▶ 避妊は内服開始1か月前から内服中および内服終了後1か月まで、と規定。献血の禁止期間も同様。
  9. Nguyen J, Korta DZ, Chapman LW, Kelly KM. Laser treatment of nongenital verrucae: a systematic review. JAMA Dermatology. 2016;152(9):1025-1033.
    doi:10.1001/jamadermatol.2016.0826
    ▶ 炭酸ガスレーザーによる疣贅治療の系統的レビュー。治療時の煙(プルーム)に無傷のHPV DNAが含まれることが示されており、吸煙装置の使用が必須とされる。

最終確認日:2026年8月18日(各文献はDOIまたは発行元サイトで実在および書誌情報を照合済み)

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