目次

 

1回で治らないのには理由がある。
皮膚科専門医が教える「ウイルス性イボ」治療の真実

「皮膚科で痛い思いをしてイボを凍らせてもらったのに治らない」「何回通院しても治らない。一体いつになったら終わるんだろう?」と、不安を感じてはいませんか?

特にお子様の場合、学校やプールでうつしてしまわないか、あるいは家族に広げてしまわないかと、気が気でない保護者の方も多いはずです。

実は、ウイルス性イボは非常に「しつこい」性質を持っており、1回の処置で完治しないのが当たり前なのです。

今回は、皮膚科の現場で日々患者様と向き合う皮膚科専門医の視点から、イボの正体と、標準治療である「液体窒素治療」の仕組みを、大阪の花ふさ皮ふ科グループ(千里中央花ふさ皮ふ科、江坂駅前花ふさ皮ふ科、みのお花ふさ皮ふ科)理事長、皮膚科専門医の花房崇明が分かりやすく解説します。

1. イボの原因は「目に見えない傷口から入るウイルス」

イボの原因は、単なる皮膚の盛り上がりではなく、ヒトパピローマウイルス(HPV)という目に見えないウイルスによる感染症なのです。

このウイルスは、健康な皮膚に侵入することはできません。しかし、指のささくれや目に見えないほど小さな傷口を見つけると、そこから忍び込み、皮膚の細胞に住み着いて増殖し、患部を大きく膨らませます。

  • なぜ子どもやスポーツ選手に多いのか: 子どもは皮膚のバリア機能が未熟だったり、スポーツ選手は摩擦で小さな傷ができやすかったりするためです。
  • 家庭内感染のリスク: お子様の場合、自然治癒することもありますが、放置すると数が増えたり、家族や友達にうつしてしまったりするリスクがあります。

イボを治すということは、表面を削ることではなく、細胞の奥深くに潜り込んだ「ウイルス(に感染した細胞)を根絶すること」なのです。

2. 液体窒素治療のシンプルな仕組み

現在、ウイルス性イボに対する最も一般的な治療法は「液体窒素治療(凍結療法)」です。これはウイルスに感染した細胞ごと、患部を壊死させる治療法です。

治療では、-196℃という超低温の液体を綿棒やスプレーでイボにピンポイントで照射・圧着し、患部を凍結します。

「ウイルスに感染している細胞ごと凍らせて壊死させる」

このシンプルな言葉に、治療のすべてが詰まっています。ウイルスそのものに直接薬を効かせるのは難しいため、ウイルスが感染している細胞ごと冷凍し、物理的に破壊してしまうのです。化学的な薬ではなく、物理的な「温度差」で患部を壊死させます。また、液体窒素治療が局所の免疫システムを発動させ、ウイルスを死滅させる効果も狙っています。

\ 液体窒素に関する詳しいYoutubeはこちら /

WEB予約はこちらから

3. 1回で治らない理由:ウイルスは意外に深い

「1回液体窒素で凍らせればポロッと取れる」というイメージを持たれがちですが、現実は甘くありません。ウイルスは皮膚の表面だけでなく、基底層と呼ばれる表皮の一番深い層まで「根っこ」を張るように広がっています。

治療の段階状態と目的
初期段階表面の硬い角質を壊死させ、取り除きます。
中期段階少しずつ「根っこ」を露出させ、繰り返し凍結します。
最終段階深部のウイルスを完全に死滅させ、正常な皮膚を再生します。
  • 治療のステップ: 表面を壊死させ、壊死組織を取り除いた上で、少しずつ「根っこ」を露出させてはまた叩く……という治療を繰り返します。
  • 回数の目安: 1〜2週間おきに通院し、数回から、多い場合は10回以上、1-2年かかることも珍しくありません。

1回で治らないのは、治療が効いていないからではありません。「一歩ずつイボの潜んでいる病変の一番深いところまで治療している状態」なのです。回数を重ねるごとに、完治へと着実に近づいています。

4. 「熱いような痛み」の正体と、治療後の正しい向き合い方

処置中やその後に感じる「チクッ」「ジンッ」「熱いような痛み」にお子さんはもちろん大人の方も痛みを感じます。この痛みは通常2〜3日で落ち着き、長くても1週間ほどで和らぎます。

また、液体窒素治療後に水ぶくれや血豆、かさぶたができることがありますが、これは決して「悪化」ではないのですが、液体窒素治療の反応が強く出すぎている可能性があります。

【水ぶくれ・かさぶたができた時のケア】

  1. 水ぶくれを潰さない: 二次的な細菌感染から蜂窩織炎(ほうかしきえん)になることもあるので、水ぶくれはできるだけ潰さないようにしましょう。
  2. かさぶたを剥がさない: 皮膚の下で新しい皮膚が張るのをじっくり待ちます。
  3. 清潔を保つ: 入浴やシャワーは当日から可能です。

5. イボ根絶への最短・最速ルートは「継続」「忍耐」

ウイルス性イボは、確かにしつこい相手です。しかし、自己判断で中断せず「コツコツ続けること」さえできれば、必ず根治できます。

途中で通院、治療をやめてしまうと、生き残ったウイルスが再び増殖し、これまでの努力が水の泡、振り出しに戻ってしまいます。ご自身のストレスをなくし、周囲の家族や友人を守るためにも、最後まで治療しましょう。

大阪の花ふさ皮ふ科グループ(千里中央花ふさ皮ふ科、江坂駅前花ふさ皮ふ科、みのお花ふさ皮ふ科)では、皮膚科専門医の診断のもと、痛みを抑える工夫や、お子様への励ましの声かけも大切にしています。
あなたのその「イボ」、放置せずに今日から根気強く向き合ってみませんか?私たちが全力でサポートすることをお約束します。


WEB予約はこちらから

6. FAQ:よくある質問

 

ウイルス性イボの治療費はいくらかかりますか?
液体窒素による「皮膚科特定疾患等処置」は、3箇所までは一連につき210点、4箇所以上は270点です。
3割負担の方の窓口負担は3箇所までで約630円、4箇所以上は810円となります(再診料や処方箋料などは別途かかります)。
どのくらいのペースで通院が必要ですか?
通常、1〜2週間に1回のペースで通院いただきます。間隔が空きすぎると、その間にウイルスが再増殖してしまうため、定期的な通院が完治への最短ルートです。
液体窒素治療以外に薬の選択肢はありますか?
補助療法として、角質を柔らかくするサリチル酸ワセリンや、サリチル酸ワセリン含有のテープ(スピール膏)、免疫力を高めるヨクイニン(ハトムギエキス)の内服を併用することがあります。ヨクイニンエキ錠の薬価は1錠あたり約6.5円(2026年2月時点)で、3割負担なら少額の負担で処方可能です。
治療後に水ぶくれができましたが大丈夫ですか?
液体窒素によって皮膚に炎症が起きている反応がやや強く出ています。無理に潰すと細菌感染につながる可能性があります。できるだけ水ぶくれは破かず、自然に乾くのを待ってください。水ぶくれが破けてしまった場合は早めにクリニックを受診してください。
完治したかどうかはどうやって判断しますか?

※2024年4月改定の診療報酬に基づいた一般的な概算です。

イボに関するYoutube

 

関連するページ


参考文献(Evidence)

  1. Sterling JC, et al. British Association of Dermatologists’ guidelines for the management of cutaneous warts 2014. Br J Dermatol. 2014.
    ▶︎皮膚疣贅(ウイルス性いぼ)の診断と治療についてまとめた英国皮膚科学会のガイドラインで、サリチル酸外用や液体窒素による凍結療法が標準的治療として推奨されていることを示した指針
  2. Bruggink SC, et al. Cryotherapy with liquid nitrogen versus topical salicylic acid application for cutaneous warts in primary care. CMAJ. 2010.
    ▶皮膚いぼ患者を対象に、液体窒素による凍結療法とサリチル酸外用療法の効果を比較したランダム化比較試験で、両治療法が有効な選択肢であることを示した研究
  3. Doorbar J, et al. The biology and life-cycle of human papillomaviruses. Vaccine. 2012.
    ▶︎ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染機構や増殖サイクルを解説したレビューで、HPV感染が皮膚や粘膜のいぼ(疣贅)発症の原因となるウイルスであることを示した基礎研究