ニキビ跡がシミのように色素沈着した状態になる場合があります。ニキビ跡の色素沈着は、患部の状態や年齢にもよりますが、多くの場合半年くらいかけて自然に薄くなる場合がほとんどです。
当記事ではニキビ跡による色素沈着の原因と治し方について解説します。ニキビ跡による色素沈着を改善する方法に関して、すぐに取り組めるセルフケアからクリニックや病院で受けられる施術まで紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ニキビ跡が色素沈着する原因は炎症
ニキビ跡が色素沈着する原因は、炎症です。ニキビ跡による色素沈着は、炎症後色素沈着といわれるもので、シミとは異なります。ニキビができた際の毛穴周辺の炎症によってメラノサイトが活性化し、黒色のメラニンが生成された結果、茶色や紫のくすみとして残ってしまった状態が炎症後色素沈着です。
ニキビの炎症により生成されたメラニンは自然に消失する可能性が高く、炎症の鎮静化とともに半年から1年程度の期間をかけて薄くなっていく傾向があります。
ニキビ跡による色素沈着を改善する方法
ニキビ跡による色素沈着を改善する方法は「生活習慣の見直し」と「皮膚科専門医による治療」です。
生活習慣の見直しは肌のターンオーバーを促進させる方法です。一方、クリニックや病院での治療は肌のターンオーバーを促進させるものと色素沈着そのものに作用する治療があります。
【ニキビ跡による色素沈着を改善する方法の例】
生活習慣の見直し | クリニックや病院での治療 |
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生活習慣の見直しによる改善
生活習慣の見直しによって肌のターンオーバーを促し、ニキビ跡の色素沈着を改善する方法があります。肌のターンオーバーとは、古い皮膚がはがれ落ちて新しい皮膚が生まれるサイクルのことです。ニキビ跡の状態にもよりますが、ターンオーバーが促進されると、ニキビ跡の色素沈着が自然に薄くなり、時間をかけて消失する傾向があります。
【肌のターンオーバーを促すための生活習慣】
バランスの良い食生活 |
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質の良い睡眠 |
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適切なスキンケア |
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なお、これらの方法を継続し、半年以上たってもニキビ跡による色素沈着が改善されない場合には、皮膚科専門医に相談することを検討してください。
バランスの良い食事や質の良い睡眠を心がける
バランスの良い食生活や質の良い睡眠を心がけるようにしましょう。食事や睡眠は肌のターンオーバーを整えるうえで欠かせない要素だからです。
【ターンオーバーを促進させるために取りたい栄養素の例】
| 効能 | 含まれる食材 |
タンパク質 | ターンオーバーの正常化 | 肉類、魚類、大豆、卵、乳製品 |
必須脂肪酸 | 血流の促進、肌や粘膜の補強 | アボカド、ナッツ類、サンマ、マグロ、ブリなど |
ビタミンA | ターンオーバーの促進 | にんじん、かぼちゃ、乳製品、卵、レバーなど |
ビタミンB2 | 皮脂分泌の抑制 | 牛肉、豚肉、納豆、レバーなど |
ビタミンB6 | 新陳代謝の促進、皮脂分泌の抑制 | まぐろ、玄米、バナナ、レバー、ささみなど |
ビタミンC | 抗酸化作用 コラーゲンの生成 | オレンジ、キウイフルーツ、パプリカ、ピーマン、ブロッコリーなど |
ビタミンE | 抗酸化作用 | ナッツ類、アボカド、うなぎ、オリーブオイルなど |
良質なタンパク質・脂質を中心に、ビタミンを多く含む食材をバランスよく取り入れることでターンオーバーが整い、色素沈着が改善される可能性があります。食事でバランスよくビタミンを摂取するのが難しい場合にはサプリメントで補うようにしましょう。
また、睡眠不足やストレスによって自律神経が乱れると肌のターンオーバーも乱れ、色素沈着の自然治癒は行われにくくなることがあります。ターンオーバーを促す「成長ホルモン」を分泌させるためにも質の良い睡眠を心がけ、適度な運動など自分にあったストレス解消法を見つけてください。
適切なスキンケアを行う
ニキビ跡の色素沈着を悪化させないためは、適切なスキンケアを行う必要があります。誤ったスキンケアによって皮膚の角質と皮脂による「バリア機能」が低下することがあるためです。バリア機能が低下すると、肌が乾燥し、「ニキビ・吹き出物」「赤み・湿疹(しっしん)」「毛穴の開き」などを引き起こす原因となります。
【スキンケア例】
- 肌を強くこすらない
- 防止や日傘を使用する
- 顔をふくタオルをこまめに交換する
- 日焼け止めを塗る
- 保湿する
洗顔やスキンケアを行う際には、肌を強くこすらないようにしましょう。摩擦によって肌のバリア機能が低下する可能性があり、バリア機能が低下すると炎症がおこりやすくなり、結果的にメラニン色素が合成されやすくなるからです。
さらに、紫外線によって皮脂が酸化し、皮膚のバリア機能は低下します。日焼け止め、帽子や日傘などを使用し、年間を通して紫外線対策を行うようにしてください。
クリニックや病院で治療を受ける方法
クリニックや病院では、ニキビ跡の状態に応じてさまざまな治療方法があります。クリニックや病院では、肌のターンオーバーを促進させるための治療やニキビ跡の色素沈着に直接作用する施術があるため、ニキビ跡による色素沈着の状態に応じた処置が受けられます。
【ニキビ跡の色素沈着を改善する治療の例】
- 内服薬
- 外用薬
- ピーリング
- イオン導入・エレクトロポーション
- 光治療
- レーザー治療
ターンオーバーを促進させるための生活習慣を心がけていても色素沈着が改善されない場合や、ニキビを繰り返している場合には皮膚科専門医での治療が適しているといえます。
なお、ニキビ跡の色素沈着を改善する治療は保険適用外です。病院によって費用や治療方法が異なるため、専門医による治療を検討している場合は、皮膚科のホームページなどから内容を確認してください。
内服薬
ニキビ跡による色素沈着の治療には、内服薬によってターンオーバーを正常化させたり、色素沈着の原因となるメラニンの合成を抑制したりする方法があります。
【ニキビ跡による色素沈着の治療に用いられる内服薬の例】
- L-システイン
- ビタミンB群(ビタミンB1、B2、B6、B12)
- ビタミンC
- ビタミンA誘導体(レチノイド)
- ビタミンE(ユベラ)
たとえば、L-システインやビタミンB群は肌のターンオーバーを正常化させる働きがあります。また、ビタミンCはメラニンを阻害する作用や、できてしまったメラニンを還元し白くする作用があります
なお、ニキビを繰り返している場合には、トラネキサム酸を服用し、色素沈着の原因となる炎症をおさえる方法もあります。
外用薬
ニキビ跡による色素沈着の治療として、外用薬を活用して過剰に生成されたメラニン色素の排出を促したり、メラニン色素の合成を抑制したりする方法があります。
【ニキビ跡による色素沈着の治療に用いられる外用薬の例】
- トレチノイン
- ハイドロキノン
トレチノインはビタミンA(レチノール)誘導体で肌の基底層にあるメラニン色素を排出する働きがあります。ハイドロキノンはメラニンやメラノサイトに作用し、色素沈着を薄くする効果が期待できます。
なお、ニキビ跡の状態によって、他の治療法が向く場合もあります。希望する場合には医師に相談してください。
ピーリング
ピーリングには、ターンオーバーを促進させる効果が期待できるものがあります。ピーリングとは、肌に薬剤を塗り、古い角質や汚れを除去する施術です。ターンオーバーの促進によって、ニキビ跡や色素沈着の改善につながる可能性があります。
たとえば、ケミカルピーリングは、サリチル酸マクロゴールやグリコール酸などの薬剤によって皮膚の角質層から表皮上層部を剥がれやすくし、肌のターンオーバーを促進させる施術です。また、コラーゲンピールは、角質層を剥離する薬剤は使用せず、コラーゲン増生作用のあるTCA(トリクロロ酢酸)やメラニンをつくる酵素の働きを抑制するコウジ酸を真皮層に作用させます。
なお、ピーリングは単体で行うだけでなく、イオン導入の前に行うことで美容成分の導入効果を高められるため、肌の状態に合わせて取り入れることも可能です。ケミカルピーリングの効果や施術について知りたい人は「ケミカルピーリング」を確認してください。
イオン導入・エレクトロポーション
イオン導入やエレクトロポーションは、微弱な電流を流しで有効成分を肌の深部に浸透させる施術です。
イオン導入は、イオン化させた有効成分を肌の深部に浸透させます。一方、エレクトロポーションは、電気の力で肌に微細な穴を空けることで、イオン導入では浸透させることが難しい高分子の成分を皮膚の深部まで浸透できます。エレクトロポーションの仕組みを知りたい人は「エレクトロポーション」を確認してください。
【イオン導入・エレクトロポーションで使用する有効成分】
有効成分 | 作用 | 対応する肌の悩み |
ビタミンC誘導体 |
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トラネキサム酸 |
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イオン導入やエレクトロポーションで浸透させる有効成分は複数ありますが、ニキビ跡の色素沈着にはメラニンの生成を抑制する作用のあるビタミンC誘導体やトラネキサム酸が向いています。いずれも肌のターンオーバーを整え、色素沈着の自然治癒を促す効果が期待できるとともに、幅広い肌の悩みに対応します。
なお、トラネキサム酸は、ビタミンC誘導体より刺激が少ない傾向があります。アトピー性皮膚炎など肌が敏感な人は、イオン導入やエレクトロポーションの施術において、刺激が少ないトラネキサム酸の導入を検討してください。
光治療
IPL光治療や医療用LEDを照射してニキビ跡の色素沈着を改善する方法があります。
IPL光治療には、フォトフェイシャルやフォトシルクプラスなどがあり、照射によってメラニンの分解やコラーゲン生成を促進させます。医療用LEDは、ヒーライトⅡと言われる機器があり、高輝度のLED(発光ダイオード)を照射して、ターンオーバーを促進させます。
いずれの光治療もニキビ跡の色素沈着だけでなく、ニキビやしわ、くすみの改善にも効果が期待できるため、複数の肌トラブルを抱えている人に向く治療方法であるといえるでしょう。
レーザー治療
ニキビ跡の色素沈着の原因であるメラニン色素に直接作用するレーザー治療があります。
【ニキビ跡による色素沈着の治療に用いられるレーザー医療機器の例】
レーザー医療機器の種類 | 特徴 |
ピコシュア(ピコトーニング) |
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メドライトC6(レーザートーニング) |
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たとえば、「ピコシュア」は、ピコレーザーの中で唯一のアレキサンドライトレーザーで、755nmの波長をピコ秒(1兆分の1秒)単位で照射可能です。ピコシュアは、波長1064nmのピコレーザーと比較してメラニン色素に対する吸光度が3倍となっているため、スピーディーにメラニン色素を破壊できます。
また、「メドライトC6」は1,064nmと532nmの2種類の波長を選択できるヤグレーザーです。メドライトC6は広範囲かつ弱い熱エネルギーの照射によって炎症を生じさせることなくメラニン色素を破壊できます。
他にも、ニキビの炎症による赤みが残っている場合はヘモグロビン色素に作用する「Vビーム」、ニキビ跡が色素沈着に加えてクレーターの治療を行いたい場合には「フラクショナルレーザー」による治療法があります。ニキビ跡の色素沈着は赤みや凹みを伴っているタイプもあるため、自身の症状に合ったレーザー治療を皮膚科専門医に相談して決めてください。
マイクロニードル
マイクロニードルは、無数に並んだシート状の針によって肌に穴をあけ、修復過程で肌を再生させる背施術です。肌の修復過程において線維芽細胞が活性化し、コラーゲンの生成が促進されるため、ターンオーバーの働きを正常化したい場合に向く施術といえます。
ただし、ニキビ跡の色素沈着にはあまり効果は期待できません。
【マイクロニードルの種類】
施術 | RF(高周波)エネルギー | ドラッグデリバリーシステム | 対応する肌の悩み |
ダーマペン | 使用しない | 無 | ニキビ跡の凹み 毛穴の開き・たるみ シワ・小ジワ |
ポテンツァ | 使用する | 有 | ニキビ跡の凹み 毛穴の開き 肝斑 ニキビ跡の赤み 赤ら顔 |
「マイクロニードル」のダーマペンとポテンツァのおもな違いは、RF(高周波)エネルギーの照射とドラッグデリバリーシステムが備わっているか否かです。 マイクロニードルに使用する針の先端からRF(高周波)を照射することで肌細胞を刺激し、ドラッグデリバリーで針穴から直接薬剤や美容有効成分を導入することで肌質を向上させる効果が期待できます。
ダーマペンは高周波エネルギーとドラッグデリバリーシステムを使用しません。一方、ポテンツァはRF(高周波)とドラッグデリバリーシステムが備わっている施術のため、ダーマペンより強力な効果とダウンタイムの短縮が期待できます。
なお、マイクロニードルは、肌に針で穴をあけるため、施術後の肌に赤みが現れ、内出血、皮むけなどの治癒期間としてダウンタイムを要するケースがあります。マイクロニードルのダーマペンとポテンツァの仕組みを知りたい人は、ダーマペン4とポテンツァを確認してください。
ニキビ跡による色素沈着を防ぐための対策
ニキビが治癒過程で色素沈着を起こさないよう、状態に応じた処置を行うようにしましょう。
【ニキビの状態による対策】
ニキビの種類 | 白ニキビ | 黒ニキビ | 赤ニキビ |
ニキビの状態 |
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対策 |
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炎症を起こしていない白ニキビは黒ニキビになり、自然治癒するケースがほとんどです。白ニキビや黒ニキビから色素沈着が起こることは稀であるといえるでしょう。
一方、赤ニキビは炎症が起こっているため、適切なセルフケアを行うとともに皮膚科での処置により炎症を抑えられます。特に、赤みがみられるニキビは、炎症によって毛細血管が増殖している状態にあるため、ヘモグロビン色素に反応する「Vビーム」での治療も有用です。
種類を問わず、ニキビ跡による色素沈着を防ぐためには、ニキビが悪化して炎症を防ぐ必要があります。ニキビが気になり、どうしても手で触れてしまう場合には、ニキビの初期段階で皮膚科でのニキビ圧出やケミカルピーリングなどの処置を受け、早期にニキビを治癒させるのも有用といえます。
まとめ
ニキビ跡による色素沈着の原因は、炎症です。ニキビ跡による色素沈着は、シミではなく、炎症後色素沈着といわれるもので、数か月から半年程度で自然に薄くなる場合がほとんどです。
ニキビ跡による色素沈着を改善するには、肌のターンオーバーを促すために生活習慣の見直しを行う方法があります。また、皮膚科専門医での治療によって、肌のターンオーバーを促したり、色素沈着に直接処置を施したりする方法があります。
なお、ニキビ跡の色素沈着に適した治癒法は症状によって異なります。生活習慣の見直しを行っていても数か月以上色素沈着が改善しない場合には、皮膚科専門医を受診して状態に応じた処置を行うようにしましょう。