顔や背中などにできたニキビ跡を改善したいと考え、今後ニキビ跡を増やさないためにも対策を知りたい人もいるでしょう。当記事では、ニキビ跡ができる原因とニキビ跡ができてしまった際の対応を解説します。

 

ニキビ跡ができる原因を知ったうえでしっかりと予防し、それでもニキビ跡が残ってしまった場合には症状に応じた処置を選択できるようにしてください。

 

ニキビ跡ができる主な原因は炎症やターンオーバーの乱れ

ニキビ跡ができる主な原因は炎症やターンオーバーの乱れです。ニキビ跡は、ニキビの炎症によって肌の組織がダメージを受けた状態です。

 

【ニキビ跡ができる原因】

原因

概要

炎症

  • 炎症による肌の周辺組織のダメージ
  • 炎症後のメラニンの過剰生成

ターンオーバーの乱れ

  • 炎症によるターンオーバーの乱れ

 

肌のターンオーバーが乱れていると肌が元の状態に戻るまでに時間がかかり、ニキビ跡になります。また、ニキビの炎症によって肌の細胞がダメージを受けたことによって、ターンオーバーが遅くなる場合もあります。

 

なお、ニキビが同じ場所に繰り返しできて炎症によるダメージが大きくなることで、炎症が治まってからも肌が修復できない状態になってしまい、ニキビ跡が残る場合もあります。

 

ニキビ跡には複数の種類が存在する

ニキビ跡には「赤み」「色素沈着」「クレーター」「ケロイド」と、複数の種類が存在します。

 

ニキビ跡ができる主な原因は「炎症」「ターンオーバーの乱れ」ですが、ニキビの種類や炎症によるダメージの度合いや体質などによって、色素沈着や瘢痕(はんこん)として残る場合があります。

 

【ニキビ跡ができるしくみ】

ニキビの

種類

赤み

(炎症後紅斑)

色素沈着

クレーター

(萎縮性瘢痕)

ケロイド

ニキビ跡が

できるしくみ

ニキビの炎症によって、毛細血管が増殖したり拡張したりしてできる

ニキビの炎症でメラノサイトが活性化し、大量のメラニンを生成してできる

ニキビの炎症が皮膚の真皮にまで達しており、真皮を破壊してしまった場合にできる

※真皮はターンオーバーによる再生が行われない

ニキビによる炎症が皮膚の真皮まで達した場合、皮膚が傷を修復するためにコラーゲンを過剰に生成してできる

※体質による

 

ニキビ跡ができる可能性はニキビの種類や部位によっても変わってくる

ニキビ跡ができる可能性はニキビの種類や部位によっても変わってきます。ニキビは種類や、ニキビができる部位によって皮脂量やターンオーバーのサイクルが異なるからです。

 

ニキビ跡を残さないためには、ニキビの種類やニキビができた部位を見極め、同一部位にニキビが増えないようにするとともに、炎症を悪化させないようにする気を付ける必要があります。さらに、肌のターンオーバーが正常に働くように日常的に行えるセルフケアを取り入れるようにしましょう。

 

ニキビの種類による違い

ニキビの種類によっても、ニキビ跡になる可能性が異なります。ニキビには「白」「黒」「赤」「黄色」と複数の種類があり、それぞれ症状が異なるからです。

 

【ニキビの種類別・跡になる可能性】

ニキビの

種類

ニキビができる原因

ニキビ跡になる可能性

  • 皮脂の過剰分泌による毛穴の詰まり(角栓)

低い

  • 炎症を起こしていないため白ニキビの段階で症状が治まればニキビ跡にはなりにくい

  • 角栓の酸化

※赤ニキビが進行した状態

低い

  • 炎症を起こしていないため黒ニキビの段階で症状が治まればニキビ跡にはなりにくい

  • アクネ菌の増殖による毛穴および周辺皮膚の炎症

  • 炎症が治まった後「赤みを帯びたニキビ跡」「色素沈着」が起こる可能性がある

黄色

  • 毛穴の化膿

※赤ニキビが進行した状態

  • この段階でニキビをつぶしたりして炎症が悪化すると凹みのある「瘢痕(クレーター)」になる可能性が高まる

 

ニキビができる部位による違い

ニキビができる部位によってニキビ跡の特徴や治りやすさは異なります。顔や体の部位によって、皮脂量やターンオーバーのサイクルが異なるからです。

 

【ニキビができる部位別・跡になる原因】

ニキビができる部位

ニキビの特徴

ニキビ跡になる原因

  • 皮脂腺が発達している部位のため繰り返しニキビができやすい
  • 思春期に額にニキビができる主な原因はホルモンバランスの乱れによる皮脂の過剰分泌
  • 前髪やシャンプーのすすぎ残しなど外部からの刺激によって炎症を起こしやすい部位のため、アクネ菌が増殖しやすく、繰り返しニキビができ、炎症が悪化するとニキビ跡になりやすい

  • 鼻は皮脂がたまりやすいため、さまざまな種類のニキビができる
  • 鼻にニキビができる主な原因は、疲労、ストレス、暴飲暴食、便秘など
  • 思春期に鼻にニキビができる主な原因はホルモンバランスの乱れ
  • 皮脂腺が発達している部位のため繰り返しニキビができやすく、炎症が悪化するとニキビ跡になりやすい

  • 皮脂の分泌量が少ない部位のため、潤いを補おうとして皮脂が過剰分泌され、白ニキビから黄色ニキビまで複数の種類のニキビができやすい
  • メイク汚れによる毛穴の詰まりや、就寝中の寝具との摩擦などが原因になる場合もある
  • ホルモンバランスや生活習慣によって繰り返しニキビができやすい部位であり、炎症が悪化するとニキビ跡になりやすい

口周り

  • 口周りのニキビは治りにくく、繰り返しできる可能性がある
  • 乾燥しやすい部位のため、皮脂分泌量が増加して毛穴が詰まりやすい
  • 繰り返しニキビができやすく、ヒゲそり、マスクなどの刺激を受けやすい部位であり、炎症を起こすとニキビが悪化し、跡になりやすい

背中

  • 赤ニキビや黄ニキビができやすい
  • 黄色ブドウ球菌や真菌による毛穴の炎症反応によってニキビができる
  • 皮脂の分泌量が多い部位であり、衣類による蒸れやこすれの影響によってニキビが増えたり悪化したりしやすい
  • 体は顔と比較してターンオーバーが遅く、炎症反応が起こりやすいが、ニキビが増えていることに気づきにいため
  • 顔と比較してこまめに洗いにくい部位のため、ニキビが悪化して跡になりやすい

 

胸元

  • 赤ニキビや黄ニキビができやすい
  • 汗や皮脂が多い部位であり、衣類によって蒸れやすいため、アクネ菌が増殖してニキビができやすい
  • 女性より男性にできやすい(男性ホルモンの分泌量が多いと皮脂量が増える)
  • 体は顔と比較してターンオーバーが遅く、炎症反応が起こりやすい
  • 顔と比較してこまめに洗いにくい部位のため、ニキビが悪化して跡になりやすい

 

ニキビ跡を残さないための対策

ニキビ跡を残さないための対策は、日常生活で取り組めるセルフケアを行うことです。セルフケアを行うことで、ニキビの炎症を防ぎ、肌のターンオーバーが正常に働く可能性が高まるため、ニキビ跡が自然治癒しやすくなります。

 

【ニキビ跡を残さないための対策】

  • ニキビができたら炎症を起こさないようにする
  • ターンオーバーを促すための生活習慣を心がける
  • 適切なスキンケアを行う

 

ただし、ニキビ跡には種類があり、ケロイド体質の場合には、これらの対策では対応できない場合があります。ケロイド体質の人や繰り返しできるニキビをつぶしてしまった場合には、皮膚科専門医に相談するようにしましょう。

 

ニキビができたら炎症を起こさないようにする

ニキビができてしまったら炎症を起こさないように、ニキビを触ったりつぶしたりしないように心がけましょう。

 

ニキビに触れて刺激を与えてしまうと、手についた雑菌によって炎症を起こすことがあります。また、ニキビをつぶすと細菌が侵入してさらに化膿したり、肌の組織を傷つけたりしてしまい、自然治癒が難しいクレーター状のニキビ跡になる可能性が生じます。

 

なお、気を付けていてもニキビに触れたりつぶしたりしたくなる場合は、皮膚科での圧出を検討してください。皮膚科で行われるニキビの圧出によって、炎症を防ぎながらニキビの早期的な治癒が期待できます。

 

ターンオーバーを促すための生活習慣を心がける

ニキビの自然治癒を促すためにターンオーバーを促すための生活習慣を心がけましょう。肌のターンオーバーを促すためには、「食事」「睡眠」「運動」の習慣から見直します。

 

【ターンオーバーを促すための生活習慣】

食事

  • たんぱく質、ビタミンB群、ビタミンC、亜鉛、食物繊維をバランスよく摂る

睡眠

  • 質の良い睡眠で成長ホルモンの分泌や自律神経のバランスを整える

運動

  • 運動により血流を良くし、新陳代謝を活発にする
  • 発汗により毛穴に詰まった余分な皮脂を排出したり、毛穴の皮脂詰まりを防ぐ効果も期待できる

 

食事の栄養バランスが偏っていると、肌のターンオーバーが乱れ、肌のバリア機能も低下します。また、睡眠不足やストレスによって、自律神経が乱れると結果的に肌のターンオーバーが乱れます。

 

バランスの良い食事、質の良い睡眠、適度な運動などによるストレス解消を心がけることによって、自律神経が整い、肌のターンオーバーが正常に機能する可能性が高まります。

 

なお、ターンオーバーを促すための生活習慣において、ビタミンB群やビタミンCを多く含む具体的な食材を確認したい人は、自力で治せるニキビ跡の種類と治し方を解説を参考にしてください。

 

適切なスキンケアを行う

適切なスキンケアを行うことで、炎症や肌のバリア機能の低下を防げます。ニキビ跡を残さないための適切なスキンケアとは、正しい洗顔方法や紫外線対策を行うことです。

 

洗顔による摩擦や刺激を防ぎ、保湿を行うことで、肌のバリア機能を保ちながら皮脂の過剰分泌を抑えます。また、紫外線対策を行うことで肌の炎症やニキビ跡による色素沈着を防ぎます。

 

なお、スキンケア用品を選ぶ際には、ビタミンC誘導体(メラニン色素の抑制作用)やグリチルリチン酸(抗炎症作用)が含まれるものをニキビ跡のタイプに応じて選ぶことも検討しましょう。

 

ニキビ跡ができてしまった場合の対応

ニキビ跡ができてしまった場合に行うべき対応は「セルフケア」または「皮膚科専門医による治療」です。

 

ニキビ跡の種類が、赤みを帯びているタイプや色素沈着の場合、数か月~半年程度で自然に消失するため、セルフケアで対応できます。一方、クレーターやケロイドタイプのニキビ跡は、セルフケアでの自然治癒は難しいケースがほとんどです。

 

なお、ニキビ跡がクレーターやケロイドタイプの場合は、症状に応じたさまざまな治療方法があります。クレーターやケロイドタイプのニキビ跡の治療方法を確認したい人は「ニキビ跡 クレーター」「Vビームはケロイドを改善できる?治療の回数目安を解説」を参考にしたうえで、皮膚科専門医に相談してください。

 

セルフケアを行う

ニキビ跡が「赤み」「色素沈着」の場合には、セルフケアを行うにしましょう。「赤み」「色素沈着」タイプのニキビ跡は自然治癒する可能性が高いため、セルフケアを行うことで肌の炎症を防ぎながらターンオーバーを促し、ニキビ跡を治せます。

 

【ニキビ跡を改善するためのセルフケア例】

セルフケアの例

詳細

生活習慣を見直す

  • バランスが取れた食生活を意識する
  • ビタミンB群やビタミンCを意識的に摂取する
  • 適度な運動でストレス解消と血行促進をはかる
  • 質の良い睡眠で成長ホルモンを分泌させる

紫外線対策を行う

  • 年間を通して日焼け止めを使用する
  • 日傘や帽子で直射日光を避ける

 

できてしまったニキビ跡を改善するためには、基本的にニキビ跡を残さないための対策と同様のケアを行います。生活習慣を見直すことで肌のターンオーバーを正常化し、紫外線対策によってニキビによる肌の炎症を悪化することを防ぎます。

 

常日頃からセルフケアを行うことで、ニキビができてしまった際にもニキビ跡が残るリスクを回避できるでしょう。

 

なお、ニキビ跡のタイプに応じたケア方法の種類を知りたい人は、「赤みがあるニキビ跡の原因と治療方法を解説」「ニキビ跡による色素沈着の原因と治療方法を解説」を確認してください。

 

皮膚科専門医による治療を受ける

皮膚科では、ニキビ跡の改善に効果が期待できる施術が複数あります。特にニキビ跡がクレーターやケロイドタイプの場合は、自然治癒が難しいため、皮膚科専門医による治療を受けることを検討しましょう。

 

【ニキビ跡を改善するための治療例】

ニキビ跡の種類

治療例

赤み

  • 内服薬、外用薬
  • マイクロニードル
  • 光治療
  • レーザー治療

色素沈着

  • 内服薬、外用薬
  • ピーリング
  • イオン導入・エレクトロポーション
  • マイクロニードル
  • 光治療
  • レーザー治療

クレーター

  • マイクロニードル
  • レーザー治療
  • サブシジョン
  • CO2アブレージョン
  • スキンブースター
  • 再生医療
  • 各種手術

ケロイド

  • ステロイド注射
  • ボトックス注射
  • レーザー治療
  • ステロイドテープ
  • シリコンジェルシート

 

ニキビが繰り返しできている人は、皮膚科専門医による治療を受けることで、ニキビ跡の改善だけでなく、ニキビそのものの悪化を防ぐ効果も期待できます。

 

「赤み」「色素沈着」のニキビ跡は、数か月~半年程度かけて自然治癒する可能性があります。半年以上消えないニキビ跡がある場合には、皮膚科でニキビ跡の状態に応じた適切な処理を受けることを検討してください。

 

まとめ

ニキビ跡ができる主な原因は炎症やターンオーバーの乱れです。ニキビ跡は、ニキビの炎症によって肌の組織がダメージを受けた状態であり、肌のターンオーバーが乱れている場合、肌が元の状態に戻るまでに時間がかかり跡になる場合があるからです。

 

また、ニキビ跡ができる可能性はニキビの種類や部位によっても変わってきます。ニキビは種類によって原因や性質が異なり、顔や体のニキビができる部位によって皮脂量やターンオーバーのサイクルが異なります。

 

ニキビ跡を残さないための対策は「ニキビの炎症を防ぐ」「ターンオーバーを促すための生活習慣を心がける」「適切なスキンケアを行う」など日常生活で取り組めるケアです。特に、ニキビ跡が、赤みを帯びているタイプや、色素沈着の場合、数か月~半年程度で自然に消失するためセルフケアで対応できます。

 

ただし、ニキビ跡がクレーターやケロイドタイプの場合、セルフケアでの自然治癒は難しいでしょう。クレーターやケロイドタイプのニキビ跡の治療法は複数あるため、症状に応じた処置を受けるためにも皮膚科専門医に相談してください。